なんか突発的に思いついたかみもんメモ。というか完璧に1沿いのネタバレなので注意ー。畳んでおきます。ちなみにいつもどおりヒロインの名前はアヤキ・サクラです。
ところで、Whoever、どうにもやる気が出ないので今日も無理ぽい…すみませんほんと。でもやる気が出ないときに作ってもしょうがないのでお休みさせてもらいます
ところで、Whoever、どうにもやる気が出ないので今日も無理ぽい…すみませんほんと。でもやる気が出ないときに作ってもしょうがないのでお休みさせてもらいます
テッド君の傍にいられるならなんだっていいのに。
こんなことを言えばきっとテッドは心外だと怒るだろう。それでもアヤキが元の世界を捨てたのはテッドを救うためだし、いつだってアヤキの手を引っ張ってくれたテッドに出来ることなんて、それくらいしかなかったのだ。何も持ってなんていないのだ。
誰もがアヤキ・サクラを女神と称えているけれど、そんなものはアヤキの価値の一片たりとも表すことなどできやしない。アヤキが女神なのはヒロを宿しているからだし、元来アヤキは人より少し小賢しいだけの、完全に無力な子供でしかない。金も名誉も何も無い、ただのアヤキ・サクラを、テッドに見てもらいたくて。
けれどそれは間違いだったのだろうか。アヤキはぼやける視界のなか思った。いま、テッド君はわたしを見ている。それだけが真実だった。アヤキとテッドはいつだって付かず離れず、微妙な位置を保ち続けていたけれど、その枷をとうとうぶっ壊したのだ。だってしょうがない。自分を見て欲しいと、彼の優先順位の、なるだけ上のほうにいたいと思うのは、彼を好いている者にとって当然のことだと思うから。
背中に衝撃が走った。仰向けに倒れたその視界では、美しい夜空がひたすらに広がっていた。苦しくはなかった。双剣の声が聴こえなくてよかった。ヒロがいなくてよかった。ぼんやりとそんなことを考えた。少々過保護な彼らは、きっとアヤキの名前を痛いくらいに叫んでいるのだろう。ヒロは怒るかも。自分のいない間にのたれ死ぬような役立たずの小娘だって。どうせあいつが人畜無害なのはその顔だけだ。ごめんね。心の中でアヤキは軽く詫びた。ごめんね、だけど後悔なんてしていない。ずっとずっと前から、決めていたことだ。
「アヤキ?」
茫然としたテッドの声がした。じり、と足元の小石を踏む音も。ああ、駄目だよテッド君。君はずっと、ずっと私を忘れた振りをしていなけりゃいけないのに。はやく逃げて。対峙しているウィンディから、はやく。
アヤキの意に反して、テッドはもうひとつ名前を呼んだ。「アヤキ!」
「テッド、駄目だ!」
ゆっくりと視線を彼のほうへと向けると、丁度ティルがテッドの腕を掴んだところだった。彼もたまには利口なことをする。私は小さく笑みを浮かべた、らしい。唇の端がくっと引き攣った。
人は私をこう呼ぶ。「白翼の女神」と。慈愛溢れる女神様だと。そんな二つ名を聞いたとき、ハーヴェイは馬鹿笑いしていたっけ。
私が救いの女神だというのなら、すべきことは、ただひとつだ。
「ばっかじゃないの」
突き放すような私の台詞に、テッドが立ちすくんだ。
「きみのことなんて、だいきらいだよ」
嘘だよ、私は、絶対口に出してなんてやらないけれど、君のことが、きみのことが、
「い、やだ」
ティルの、テッドを掴む手がもどかしい。離せ、離せ、
「ティル、離してくれ」
「駄目だ、今は行けない」
彼は軍主だから。きっとテッドに見えないものも見えている。そう、きっと今アヤキに駆け寄ったら、張り巡らされたウィンディの罠にかかるのだろう。だけど、そんな理屈じゃないんだ。俺が行ってやらなきゃ。
「離せよ!」
「駄目だ!君を死なせるわけにはいかない!」
「じゃあアヤキは死んでもいいっていうのかよ!」
たまらなくなって、ティルを振り返った。彼もまた苦渋の表情をしていたが、そんなことはテッドの気にはならなかった。
「…いやだ、いやなんだ」
テッドが搾り出した声はひどく細かった。
「俺が引っ張ってやらなきゃ。あいつは駄目なんだよ。駄目なんだ。あいつには俺がついてなきゃ、」
初めて会ったときも、群島諸国でも、グラスカでも、ああ、グラスランドでもそうだった。彼女はいつだって無茶をする。それにいつだってテッドはひやひやさせられてきた。
ああ、そうか。唐突にテッドは気がついた。
「すきなんだ」
こんな簡単なことなのに、どうして今まで気がつかなかったんだろう。テッドは、拳を強く握り締めた。
こんなことを言えばきっとテッドは心外だと怒るだろう。それでもアヤキが元の世界を捨てたのはテッドを救うためだし、いつだってアヤキの手を引っ張ってくれたテッドに出来ることなんて、それくらいしかなかったのだ。何も持ってなんていないのだ。
誰もがアヤキ・サクラを女神と称えているけれど、そんなものはアヤキの価値の一片たりとも表すことなどできやしない。アヤキが女神なのはヒロを宿しているからだし、元来アヤキは人より少し小賢しいだけの、完全に無力な子供でしかない。金も名誉も何も無い、ただのアヤキ・サクラを、テッドに見てもらいたくて。
けれどそれは間違いだったのだろうか。アヤキはぼやける視界のなか思った。いま、テッド君はわたしを見ている。それだけが真実だった。アヤキとテッドはいつだって付かず離れず、微妙な位置を保ち続けていたけれど、その枷をとうとうぶっ壊したのだ。だってしょうがない。自分を見て欲しいと、彼の優先順位の、なるだけ上のほうにいたいと思うのは、彼を好いている者にとって当然のことだと思うから。
背中に衝撃が走った。仰向けに倒れたその視界では、美しい夜空がひたすらに広がっていた。苦しくはなかった。双剣の声が聴こえなくてよかった。ヒロがいなくてよかった。ぼんやりとそんなことを考えた。少々過保護な彼らは、きっとアヤキの名前を痛いくらいに叫んでいるのだろう。ヒロは怒るかも。自分のいない間にのたれ死ぬような役立たずの小娘だって。どうせあいつが人畜無害なのはその顔だけだ。ごめんね。心の中でアヤキは軽く詫びた。ごめんね、だけど後悔なんてしていない。ずっとずっと前から、決めていたことだ。
「アヤキ?」
茫然としたテッドの声がした。じり、と足元の小石を踏む音も。ああ、駄目だよテッド君。君はずっと、ずっと私を忘れた振りをしていなけりゃいけないのに。はやく逃げて。対峙しているウィンディから、はやく。
アヤキの意に反して、テッドはもうひとつ名前を呼んだ。「アヤキ!」
「テッド、駄目だ!」
ゆっくりと視線を彼のほうへと向けると、丁度ティルがテッドの腕を掴んだところだった。彼もたまには利口なことをする。私は小さく笑みを浮かべた、らしい。唇の端がくっと引き攣った。
人は私をこう呼ぶ。「白翼の女神」と。慈愛溢れる女神様だと。そんな二つ名を聞いたとき、ハーヴェイは馬鹿笑いしていたっけ。
私が救いの女神だというのなら、すべきことは、ただひとつだ。
「ばっかじゃないの」
突き放すような私の台詞に、テッドが立ちすくんだ。
「きみのことなんて、だいきらいだよ」
嘘だよ、私は、絶対口に出してなんてやらないけれど、君のことが、きみのことが、
「い、やだ」
ティルの、テッドを掴む手がもどかしい。離せ、離せ、
「ティル、離してくれ」
「駄目だ、今は行けない」
彼は軍主だから。きっとテッドに見えないものも見えている。そう、きっと今アヤキに駆け寄ったら、張り巡らされたウィンディの罠にかかるのだろう。だけど、そんな理屈じゃないんだ。俺が行ってやらなきゃ。
「離せよ!」
「駄目だ!君を死なせるわけにはいかない!」
「じゃあアヤキは死んでもいいっていうのかよ!」
たまらなくなって、ティルを振り返った。彼もまた苦渋の表情をしていたが、そんなことはテッドの気にはならなかった。
「…いやだ、いやなんだ」
テッドが搾り出した声はひどく細かった。
「俺が引っ張ってやらなきゃ。あいつは駄目なんだよ。駄目なんだ。あいつには俺がついてなきゃ、」
初めて会ったときも、群島諸国でも、グラスカでも、ああ、グラスランドでもそうだった。彼女はいつだって無茶をする。それにいつだってテッドはひやひやさせられてきた。
ああ、そうか。唐突にテッドは気がついた。
「すきなんだ」
こんな簡単なことなのに、どうして今まで気がつかなかったんだろう。テッドは、拳を強く握り締めた。
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